今日のありがとう 2022年8月9日

雑記
今日のありがとう

うー様のおやつを買いに出かけようと、玄関を出た私。
夏らしい青空が広がり、激暑。
息をするのも苦しい位の暑さに、踵を返そうとする体を、おやつを貰って喜ぶうー様の顔を思い浮かべて、理性で外に押し出す。
「みーんみーん、じ~」
蝉の声が頭蓋骨を震わせる。
それにしても暑い・・・。
うー様の為、うー様の為。
魔法の言葉のように唱えながら、覚悟を決めて門扉を出る。
すると、門扉の前に扉を塞ぐように何故か大きなゴミ袋が一つ。
落ち葉が半分くらい詰まっている。
❓❓❓
訝しい。
そっと門扉を開けて、外に出て様子をうかがう。
すると、左手2メートル先に塵取りが一つ。
❓❓
はて?掃除当番かなんかだったっけ?
遠い目をして、ここ最近の回覧板で、そんなお知らせが廻って来てなかったか?思い出そうとする私。
太陽は照り付ける。
人差し指と中指で、こめかみを叩いてみるが、一切記憶が蘇らない。
不審者を監視する様にゴミ袋を見つめていると、右側のお隣の家の陰に年配の女性が一人。
ひょっこり。
右側のお隣さんのお宅の方ではない人である。
間違いなく不審者A。
「おーびっくりした。誰?」を抑えて、「こんにちは」と声を掛けてみる。
「あらま、こんにちは。玄関前にゴミを置いて、ごめんなさいね」
けらけらと軽やかに笑いながら、小さな声で女性が言う。
本当に、そうよ。
そう思いながらも「いえいえ大丈夫ですよ」と明るく返す。
さりげなく観察してみる。
60代くらいだろうか?
右手に年季の入った箒を持ち、花柄の涼しそうなワンピース。
白いソックスに、つっかけ。
どう見ても、人の好い近所のおばちゃん風、人畜無害感漂う。
いやいや、悪い人と言うのは、一見優しそうに見えるもんである。
油断大敵。

しばしの沈黙に耐えかねるように彼女が言う。
「落ち葉がね。すごいでしょ?」
あぁ、そう言う事か・・・。
我が家の御近所に、空き家が一軒ある。
ご高齢の男性が一人で住んでいたけれど、施設に入られたらしく、もう4,5年は空き家になっている。
最初の1年程は、息子さんらしき人がやって来ては、郵便物の回収や庭の掃除をしていたけれど、今は全く放置。
庭は荒れ放題で、家は傷み凄みを増している。
郵便受けからは、チラシがはみ出し、雨に打たれてよれよれに。
このお宅から、庭木の落ち葉が風に乗って、定期的にそこそこの勢いでやって来る。
不思議な事に落葉は季節を問わずなので、真夏の今でも枯れてカサカサの葉っぱが、玄関前や側溝に吹き寄せられている。
何の木だよ?
知識が無い私には全く分からないけれど、何しろ新陳代謝が激しい。
お肌なら、いつもツルツルのピカピカになりそうな勢いで生まれ変わっている。
掃いても掃いてもキリがないので、側溝が詰まらない程度に掃除して、適当にお茶を濁していた。
あぁ、あの家の御家族さんが掃除に来てくださったのだな。
だったら、有難い話なので丁重に対応せねば。
そう思った私は、目の前の女性を娘さんかお嫁さんかのどちらかだと予想し、「暑いのにご苦労様です。お父様はお元気ですか?」と聞いてみた。
すると、「亡くなったみたいですよ」と他人事のような返事。
あれ?
身内じゃないのか?
じゃ、あんた誰?状態にカムバックである。
「あのー、お身内の方では無いのですか?」
「あっ、委託されて?とか?」
・・・。
・・・・・。
・・・・・・。
「私、Hです。数軒先の・・・」
あぁ、そうか。
どうりで、見たことあるような気がしていたけれど、60代の優しそうな小柄な人畜無害感漂う女性なんて沢山いすぎて、一度や二度お会いしても分からなかった。
「あらま、失礼いたしました。気が付かなくて申し訳ありません」
そう言いながら、またしても疑問。
数軒先のHさんが、お隣の家の前で掃除とは、これ如何に?

頭に❓を3つ付けながら、これ以上余計な事を言わないように目で「なぜ掃除してる?」と言ってみた。
目力で。
「いやね、どうしても葉っぱが家の前までやって来るのが気になって・・・」
「雨が降ると、溝も詰まるでしょ」
「困るから、時々掃除しているの」
ほう。
知らなかった。
確かに、我が家から彼女の家までは、わずかに下り坂で、雨が降れば水の流れとともに家まで葉っぱがたどり着くだろうし、万が一溝が詰まり溢れるような事態になれば困られるよなぁ。
そうならないように、私も溝の掃除はしていたつもりだったけれど、留守がちだったから十分では無かったのだなぁと反省。
けれど、それなら持ち主さんに連絡してみるなり、定期的に掃除してもらうなり、方法は有りそうではないか。
続けて、「なぜ貴方がしているのか?」と顔で聞いてみた。
顔力で。
「いや、役所に連絡して下さった人もいるらしいのよ。でも個人の持ち物だから手を出せませんと言われたんだって」
「だからって放置できないでしょ」
「実際困るかもしれないし」
「私は時間だけはたっぷりあるから」
そうかそうか。

と言う事は、目の前の善良そうな女性はHさんで、御近所さんで、自分ちが困るからとは言え、ボランティアで近所中のお掃除をしてくれている奇特な人って訳だね。
我が家の前だって、何度も掃除してくれていたのかもしれない。
不審者扱いしてごめん。
「そうでしたか。これは、お手数をおかけしていたのですね。知らなかった事とは言え、すみません」と謝った。
「気を付けていたつもりでしたが、もう少し掃除するようにしますね」と、にっこりしてみた。
マスクを付けているので、どのくらい伝わったかは不明だけれど。
「あらあら、良いのよ。こちらこそ足を止めてごめんなさいね。お出掛けなんでしょ?」
ええ、ちょっくら、うー様のおやつを買いに・・・。
「ふふふ、そうなんです。なので帰宅したら掃除しますね。失礼しまーす」
そう言って、別れたのだった。

そうかそうか。
ときどき掃除してくれていたのか。
知らなかった。
自分じゃやってるつもりでも、十分じゃなかったと言う事。
知らない所で、知らない人にお世話になっているもんだな。
Hさん、ありがとう。

今日の晩御飯

とんかつ定食

とんかつ
サラダ
マグロの山掛け
はくさいとしめじの味噌汁
今日のお買い物
豚小間 394円
しめじ 98円
たまねぎ  58円
まぐろ 172円
卵 98円
白菜 50円
うすあげ 68円税込み合計 1012円

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