今日の晩御飯 2022年3月22日

今日の晩御飯

鯖の塩焼き定食

ご飯
鯖の塩焼き
茄子とピーマンの味噌炒め
お豆腐とわかめのおすまし

 

今日のお買い物
鯖 200円
紅エビ 78円
ほうじ茶 278円
食パン 118円
税込み合計 727円
今日の本
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日本には古来から八百万の神様がいると言われる。
天照大神だって風神雷神だって神様だし、トイレにも台所にもいる。
お米1粒に7人の神様が宿ってる・・・なんて話も有る。

この本に出て来る神様は、全部で6人。
順番に、死神、貧乏神、疫病神、道祖神、九十九神、福の神。
それぞれの神様と人間の話がオムニバス形式になっていて、全編通して神様の交友関係や世界観が描かれている。
ネタバレありですので、要注意です。

1話、幸せな死神
いきなり出て来るのが、死神って・・・な展開。
しかも形容詞は「幸せな」である。
端正な顔かたちで、バラのようなにおいがするイケメンの死神。
主人公は、社会人生活3年目で仕事も恋も順調な榎本帆奈さん。
ひょんなことがきっかけに死神さんと出会う。
死神さんのお仕事は、死を看取る事。
死を呼ぶわけでも、冥界に連れてゆくわけでも無く、淡々と何十年何百年看取る事だけ。
死神さんが帆奈ちゃんに、「人間には悲しい事や辛い事苦しい事が沢山降り注ぐ。けれど、それと同じくらい幸せな事も起こる。不幸は心に刺さるけれど、幸せは当たり前すぎて、ささやかすぎて寄り添うようにやって来るから気が付かないだけだ」「自分達死神は幸せを感じることが出来ない」と言うのです。
唯一「誕生の場面に出会えたら、幸せを感じることが出来るらしい」
それを聞いた帆奈ちゃん、死神さんに幸せを感じさせてあげたくなっちゃう。
だって、友達だから・・・って。
死神さんとの約束どうり、帆奈ちゃんは結婚して出産する。
そして命の誕生の瞬間に死神さんを呼ぶ。
死神さんに幸せを感じさせてあげたくて。
死神さんの口からでたのは、「ありがとう」
続けて、「では、さようならです」
死神が、命の誕生の瞬間に立ち会う事は不可能な事。
それが叶ったとしたら、淡々と続く死を看取るだけの仕事から解放されて消える事が出来る、死神と言う役目から逃れれる、それが自分達にとって幸せなんだと言って去って行ってしまう。
一見ラブコメの様に見せかけて、幸せとは?友情とは?約束とは?なんて哲学的事を教えてくれます。

2話:貧乏神の災難
貧乏神の大庭さんと、大学卒業して3年目、真面目な両親がいる池内雅人君25歳。
池内君は、卒業してから3回転職している。
3回とも暴力沙汰だけれど、ほっとけなくて手が出るタイプの暴力で、決して我がのためではない。
理由は何であれ、結局首になり、3回目の就職で出会った上司が大庭さん。
残念ながら、3度目も解雇になって大庭さんとも今日でお別れ。
お寿司屋さんでサヨナラの会を開催して別れる。

ところが実は大庭さんは貧乏神で、池内君の誕生した時から彼を見守っていたと分かる。
「小吉人生」と池内君は自分の人生を、そう言う。
運は良い。
けれど、イマイチぱっとしない。
それもそのはず。
貧乏神さんが憑いているのだから。
貧乏神さんと言えば、憑りつかれると運の悪い事ばかり起こり、どんどん貧乏になると言われ、嫌われる存在。
けれど、貧乏神さんにはルールが有って、対象者を不幸にしないように貧乏にしているらしいのだ。
殺してもいけないらしい。
運が良いのは最高の神様のおかげ。
けれど、強運すぎると人は返って不幸になり死んでゆく。
そうならないために、運を下げて平凡な人生を歩めるように調整しているというのだ。
池内君は、最強の運の持ち主だから、貧乏神さんがマッハで頑張って運を下げても、ちょいちょい運の良さがでてしまう。
それが「小吉人生」に見える所以だった。
生まれてからずっと見守って来たのに、今日で池内君と別れた貧乏神さん。
我が子の成長を見守るかのように、池内君に寄り添い不幸にならないように、実は陰で随分頑張って来たのだった。
強運は最高の神様が与えたものだから、一生ついて回る。
けれど、身内の死に直面した時、愛するものを失い、そこから立ち上がった時、強さを身に着け、例え運よく大富豪になったとしても、誘惑に打ち勝つ力を持つと言われる。
今日で貧乏神さんが池内クンから離れた理由。

そう、母が間もなく病死する。
母の死で、大庭君が大成功しても地に足を付け、人生を踏み外さずに生きてゆけると確信を持ったから貧乏神さんは、大庭君から離れる決心をしたのだった。

くぅ。
泣ける。
1話の死神さん同様、貧乏神さんもめちゃ良い奴。
2話では、福の神近藤さんと貧乏神大庭さんの対話形式で、池内君とバイバイした後の打ち明け話が展開されるから、福の神さんが登場するのだけれど、貧乏神さんの方がずっと人間ぽく温かく描かれていて、「大変だったねぇ」ヨシヨシとしたくなる人間臭さなの。

これも、強運で人生の成功者になってしまうと、慢心し狂乱し滅びてゆく。
けれど、そこに試練や苦難が有れば、自らを抑えて平凡な道を歩んでいける。
それこそが、不幸にならない方法、つまり幸せに続くのだと教えてくれている。

こんな感じで、6話迄続きます。
ライトノベル位の軽いタッチで読みやすいから、スイスイ読み進めますが、わりと深いことが描かれていて、うーんと唸ってしまいました。

一般的に印象のよろしくない、死神さんや貧乏神さん。
けれど、彼らの事情を設定し読ませることで、「悪い奴でしょ?」だったイメージが、「やっぱりどんなに悪い奴でも、事情を知ったり、その人の立場に自分がなってみて分かることってのが有って、表面だけで判断するのは良くないなぁ」と感じて、頑張れーと応援したくなったり、御苦労様だったねーと労をねぎらったり、ドンマイと励ましたりしたくなる存在に変わっていきます。

読み終わる頃には、ちょっとした幸せや、ちょっとした不幸せの裏に沢山の神様の存在を感じ、何が有っても、両方楽しめる人になれるかもしれません。

 

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