奇跡の時間

うー様

うーちゃんのこと。
CT検査後、うーちゃんに付きっ切りの1週間が過ぎました。
数日は全身麻酔の影響か?ぼんやりした日々を過ごしていましたが、日を追うごとに少しづつ食欲が出てきました。
カテーテルが入り、エリザベスカラーが付いたままでは、思う様には動けず、いらだって鳴き声をあげる事も多くなりましたが、それでも動きたいという強い意志を感じるようになっていきました。
この1週間は、私も辛くて毎日うーちゃんを撫でてやっては涙が出る生活でした。
結局1週間後の21日に、アクシデントが有りカテーテルが抜けてしまいました。
病院に連れて行くと、今後の治療について、医師から希望を聞かれました。

判断するために、いくつか確認しました。
①手術
可能か?不可能か?と言えば可能。
但し、腫瘍が全て取りきれる保証はない。
また術後は尿道を全て取るので腹部に排尿するための穴をあけて管理することになる。
多くの場合、管理が難しく腫瘍が取りきれたとしても合併症が原因で1から2年で命を失う。
当然、常時エリザベスカラーとオムツが必須になる。
これは、交通事故などで他に疾患が無い場合の話で、うーちゃんの場合は腫瘍が有るので、さらに短くなる可能性が高い。
入院の期間は1週間程度。
②手術しなければ何も出来ないのか?
予定では2週間入れっぱなしにして、抜いた後の排尿の様子を見るつもりでしたが、1週間で抜けてしまったので、このまま様子を見ます。
排尿が有れば良いし、無ければ再度入れて、もう一度ステロイドの治療をやります。
③もしも先生がうーちゃんの飼い主さんだったら、手術しますか?
自分は医師で、病院で術後の管理が出来るからやります。
ですが、一般家庭でするのは難しいと感じています。
だから、私達の立場ならやらないかな・・・。
但し、どんな選択をしたとしても、それがベストの選択だと思って下さい・・・と。

①~③を踏まえて、山彦さんと話し合いをしました。
友人や親、兄弟にも意見を貰いました。
出した結論は、
私は手術しない。
山彦さんは手術したい。
でした。
山彦さんは、例えどんな姿になっても、1日でも長く生きて欲しいと願いました。
私は、1週間のカテーテル+エリカラ生活で、うーちゃんの辛さとストレスが尋常でない事を感じていました。
ずっとそばにいたからこそ、強く感じていました。
手術をすれば、確かに延命は出来るのかもしれません。
けれど延びた命の期間が、痛くて苦しくて辛くて、病院で怖い思いをする生活が1年なら、例え明日虹の橋を渡ることになっても、安心で好きで自由で、私達がいる自宅で過ごす時間を大事にしてやりたい。
カテーテルやエリカラや服に拘束された命は、うーちゃんが望む命ではないのではないかと考えました。
合併症を起こせば、病院での生活になります。
ゲージの中でただ息をしているだけ・・・は見てられないと思いました。
例え時間が短くなっても、最後までうーちゃんらしく、猫らしく。
虹の橋を渡らなければならない時が来るなら、その時は私達の腕の中で。
そう願いました。

私の主張に山彦さんから「死神に見える」と言われました。
ショックでした。
一日でも長く生きて欲しい彼には、私の気持ちは通じませんでした。
1日でも長く生きて欲しい・・・。
その気持ちは、私も同じでした。
但し、うーちゃんの幸せな時間が1日増えるのなら・・・です。
苦しい辛い時間を増やすのは、生きていて欲しいと願う私達のエゴではないかと思うのです。

何度も山彦さんと話をしました。
術後のうーちゃんを想像しただけで、可哀想で私には精神的に耐えられそうにも有りませんでした。
一方で山彦さんの気持ちも理解できます。
なので、提案もしました。
せめて生活費の心配はしなくて済むように、私が復職する。
その代わりに、山彦さんが退職してうーちゃんに付いてやれるのであれば手術しよう・・・と。

山彦さんの気持ちを聞いて、私も随分揺れました。
私の気持ちを知って、山彦さんも随分考えてくれたのだと思います。

私達が出した結論は、すぐには手術しないでした。

21日の抜去後から、カテーテルの入っていない自由なうーちゃんになりました。
当然、服もエリカラも無しです。
自由になった直後は、全身のグルーミングを凄い勢いで始めて、ご飯を食べて、水も飲んで、大量に嘔吐しました。
見たことが無いようなゲル状の物も混じっていました。
誤嚥を心配しましたが、大丈夫でした。
その後は、おずおずとキャットタワーに登り、ベランダでゴロゴロし、だっこして散歩に行き、エリカラがあると入れなかったお気に入りの狭い場所にも入って、一つ一つ思い出すように確認して、元の生活に戻りました。

先生からは、排尿が止まればすぐに受診、何もなくても週に1度は見せて欲しい、抗生剤の注射は2週間に1度は打ちたいと言われました。

22日から祈るような毎日が続いています。
いつ止まるか分からない排尿に怯えています。
当初は十分な量だったけれど、実際徐々に少なくなってきました。
それでも、7月1日現在。
うーちゃんは、何とか自力で排尿し、カテーテルを入れずに戦っています。
この奇跡のような貴重な時間が、1日でも長く続きますように。
もう祈る事しかできません。
けれど、今日もご飯を食べて、遊んで、甘えて、眠って、かわいい姿で頑張って生きています。
それだけで、尊いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました