母と地球儀

目標・心がける事・大切な事

先日、母の一番上の兄の奥さんが亡くなったの。
母の実家は、その兄が家を継いでいる。
母は6人だか7人だかの兄弟で、下から2番目。
兄とは12歳の歳の差。
だから、兄が結婚した時、母はまだ未成年だった。
兄嫁さんは、兄の世話だけじゃなく、母の両親や母を含む兄弟の面倒も良く見てくれたらしい。
彼女からみて、姪に当たる私が遊びに行っても、気さくに話をしてくれて優しい人だった印象が残っている。
そんな彼女が亡くなったと聞いて、母はすぐに実家に帰ると言わんばかりの勢いだったけど、1人で行けるはずもなく、結局手紙を書きお香典に同封して送った。
49日が過ぎたころ、その兄が、義姉の後を追うように亡くなった。
共に、90歳を優に超え、体調もすぐれない日々を過ごしていたそうだから、いつどうなってもおかしくは無かったとはいえ、間髪入れず不幸が続いたことを、「仲の良い夫婦だったもんなぁ」とお互いの魂が引き寄せたに違いない的な考え方で、母も納得したようだった。
その証拠に、義姉の時より実の兄の訃報を聞いた時の方が落ち着いて見えたのよね。
再び、手紙とお香典を送ったわ。
そして、その兄の訃報と前後して義姉のお香典のお返しが送られてきた。
カタログギフトだった。
これは、カタログショッピングが大好きな母にとって、うってつけのものだったの。
沢山の商品の中には、自分の好みの物がいくつも有ったのだろうね。
そして今日。
母が選んだ商品が届いた。
それは、”直径が40センチ程も有ろうかと思われる大きな地球儀”だった。
そう、あの手でくるくる回せる昔ながらの地球儀ね。
びっくりした。
でもね、その大きな地球儀を前に「世界の事が良く分かって嬉しいわ。良かったわ」等と言いながら幸せそうに笑っている母を見ているうちに、私はとてつもなく母が羨ましくなったの。
私なら地球儀を選べるだろうか?ってね。
カタログで見た地球儀が、とっても素敵だったとして。
そして、とっても欲しかったとして。
はて?
私なら1番欲しい地球儀をまっすぐに選べるだろうか?ってね。
答えは、おそらく否だと思うの。
まず浮かんだのは、「捨てるときに困る」だった。
80代の母が、どう考えているのか分からないけれど、50代の私は、もう既に、物を出来るだけ増やしたくないと思う気持ちが強い。
消耗品は良いけれど、後々処分にお金がかかるような物は極力持ちたくないと常日頃考えているの。
だから、そんな大きな地球儀はきっと選べない。
まだ手元に無いのに、私ったら捨てるときのことを、もう考えてしまってるのよ。
しかも1番初めに。
次に考えたのが、「もっと実用的な物が沢山あるのに」だった。
それこそ、食べたり使ったりして終わる、いわゆる”消え物”からやラグやお布団、電化製品のようなものまで有るのだから、日々の生活の質が上がるような実用品を選ぶ方が良いのではないか?ってね。
とは言え、電化製品だって自分が欲しい機種が載っているわけじゃないから、世の中にある一番好きな物を選べるわけじゃないのよね。
で、その次に考えたのは、「自分一人の為じゃなくって皆で、もしくは誰かと一緒に楽しめたり使えるものが良いなぁ」だった。
これは、何となく自分の為だけの物を選ぶことに罪悪感が有るのよね。
とは言え、選ぶのが自分である以上、一緒に楽しみたいと思う誰かも、同じものが好きかどうかは分らないし、往々にしてそうじゃない場合が多いわ。
そう考えると、自分のエゴよね。
この3つだけでも、「私が地球儀を選ばない理由」として十分じゃない?
こうやって、もろもろの邪念が1番好きで1番欲しいものを選ぶ行為から、少しづつ遠ざけて行くのよ。
つまりね、1番好きとか欲しい気持ちを他の理由で2の次、3の次にしちゃってるってことなの。
その他に、例えば何かを買う時の一般的なこととして、
「出来るだけコスパの良いものを選ぶ」って人もいそうよね。
ズバリ、お得そうな物。
多少好みに合わなくても一番高そうなやつとか大容量の物が正義とかって事ね。
洗剤とかなら、それでも良いのかしら?
これは、好きじゃないかもしれない物に当たってしまったら、使うたびに「なんか好きじゃないのよね」と思うから、私的には無しかなぁ。
福袋なんかが好きな人は、あてはまりそう?
「迷い過ぎて、結局何にも交換できずに終わっちゃう」人もいるかな?
じっくり考えて選ぼうって思っているうちに忘れちゃうパターンね。
私、これ有りそうなの。
色々考えすぎて、後回しにして、そのうちカタログの存在を忘れちゃう。
だってね、どうしても必要な物って買ってるから、既に揃ってるのよね。
さらに余分は要らないのよ。
で、どうしても選んでって言われると、あれこれ考えるのよ。
考えて考えて、挙句の果てに選べないパターンよ。
そして放置され、ずっと日が経ってから慌ててどうでも良いものを選んだりするのよ。
「他人から見て羨ましいと思う物とか、皆が良い選択をしたねって言ってくれそうなものを選ぶ」って人もいるかな?
SNSでいいねが欲しい人は、有りがちなのかな?
こうやって考えるとね、無邪気に素直に自分が好きだって感情を大事にして、ブレることなくポンと選べて、喜べる母が素敵だなぁって思うのよ。
これね。
山彦ちゃんもそうなのよ。
例えば車を買うと決めた時の事よ。
運転するのは山彦ちゃんだから、車種や色や金額も含めて私は一切口出ししなかったの。
でも、当時は父の病院の送迎が必要になるかもしれない時期でね。
将来的には義母の足としても必要になるかもしれないって気持ちが有ってね。
しかもしかも、私が退職して、山彦ちゃんは廃業からの就職したての家計が大ピンチの時よ。
私的には、自分の好きを大事にしてもらいたい気持ちと、家族のことも考えて選んでもらいたい気持ちが有ったんだけど、何も言わなかったの。
そしたら、山彦ちゃんの選択は、イタリア車、屋根がほろになってて開けるとオープンカー仕様、2シートの車だったのね。
自分の大好き&欲しいを優先した結果よ。
確かに可愛いのよ。
私も好きな車よ。
でも、当時は、正直「今、この車を選ぶ?」ってドン引きしたわ。
けど。
「大好きだから、この車に乗ると気分が上がって仕事が頑張れる」って言って、実際頑張ってくれてるのよ。
おかげで、私は復職することなく両親のサポートが出来てるのよ。
正解だったのだと思うわ。
2人の共通点は、そうね。
とっても幸せそうなことよ。
周りの事より自分を一番にしてるからね。
ディスってんじゃないのよ。
気が付いたのよ。
自分の好きとか欲しいを2の次3の次にして、テンションが下がる位なら、まず1番にして、御機嫌でいる方が、周りもずっと幸せだって。
「したい事していいの。欲しいものは買っていいの。やりたくないことは嫌だって言って良いの。無理しなくても、周りは案外それを認めてくれるし、受け入れてくれるんだよ」ってね。

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