生落花生

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山彦ちゃんが落花生を頂いて来てくれたの。

そうよ。
生の殻付き落花生なの。
ピーナッツとか南京豆ともいうやつね。
呼び名が複数有るから違いが有るのかと思って調べてみたけど、植物分類上は同じらしいわ。
同じマメ亜科ラッカセイ属の植物なの。
そもそも、初めて日本にやってきたのは江戸時代。
中国からよ。
だから、南京から来た豆ってことで南京豆だったのね。
で、この南京豆。
育ち方が独特なの。
まず、地上で黄色い花を咲かせて、自家受粉するの。
自家受粉ってのは、同一の個体において受粉しても受精することよ。
昆虫や風なんかの力を借りて、他の個体と受精するのは他家受精ね。
花のもとにある「子房」で自家受精をし、約1週間で子房のもとが下に伸びはじめるんだって。
で、 のびた部分(子房柄)がどんどん長くなって土にささるの。
すると、めしべが土の中で膨らんでサヤが出来て、その中に豆が出来上がるってわけよ。
つまり、豆の成長段階で、花が落ちたところの土の中にサヤが出来るようにみえたことから、落花生と呼ばれるようになったって事ね。
土の中で育つのは、適度な湿度や温度が有って、外敵が少ないからなんだって。
凄いわ。
他の手を借りず、自分の力だけで、実を付けて、地中にもぐることで身を守り、ちゃんと大きく育てて命をつなぐ仕組みを持っているってことね。
孤高の人よ。
進化の過程で何が有ったのかは知らないけれど、他の人を頼れない、自分で何もかも頑張らないと生き残れないと判断して、その道を選んだのよね。
なんか…なんか…、ジーンとなったわ。
抱きしめてあげたくなっちゃったわっ。
うぅ。

あっ、道が逸れたわね。
本題に戻るわ。
でね、生の落花生って食べたこと有る?
私は、人生初だったの。
日本では千葉県が名産地なのよね。
ひょっとして関東の方は食べる機会が多いのかしら?
生まれも育ちも関西のまめまるが日頃良く食べているのは、所謂ピーナッツってやつね。
乾燥させて、殻を取り除いて売っている硬い豆。
お手軽でお手頃で、お酒のおつまみにもピッタリ。
十分美味しいわよ。
因みに、ピーナッツってのは、英語表記でピー(豆)+ナッツ(木の実)って事なんだって。
生の落花生はね、鞘のまま塩茹でしてから殻を割って食べるんだって。
枝豆方式ね。
但し、殻が硬いからね。
「20から30分は茹でて」って教えてもらったから、その通りにしたわ。

茹で上がった写真が無いのは、見た目が変わらないからよ。
どっちが使用前で使用後なのか、見比べてみても分からないからよ。

スモークがたかれたステージに立つアイドルのような、湯気が上がってる落花生を、少し放置して粗熱をとって、早速実食ね。
山彦ちゃんと向か有って座り、間のテーブルの真ん中に落花生を置いた。
眼でうなずき合い、まず一つ手に取ってみる。
まだ、ほんのり温かい殻は、柔らかくて爪と手で簡単に剥けた。
乾燥ピーナッツにくっついてる内皮は、茶色じゃなくて、薄いベージュ色。
豆と同じ色だった。
豆は、大豆色で、まさにピーナッツの形。
そりゃピーナッツなんだから当たり前なんだけど、大豆色でピーナッツの形なのに、温かくて、指先に少し力を込めると形が歪む位柔らかい。
そして、水分を十分に含んだ豆は知っているピーナッツより大きい。
「ピーナッツは冷たくて硬い物」として認識してる私の脳は大混乱よ。
そっと摘み上げて、口に放り込んだ。
噛み、噛み、噛み。
‼‼‼
大きく目を見開いて、山彦ちゃんに訴えた。
「おいしぃぃぃ」
びっくりした。
人はびっくりすると、本当に目がぱちくりすると知った。
何というか、温かいピーナッツバター味の枝豆って言うのが近いのかどうなのか?
語彙力が無さ過ぎて表現できないけど、噛めば噛むほど豆の甘みとピーナッツ独特の良い匂いとほくほくの食感が絶妙で、凄く美味しかった。
今年、いやここ数年間で食べたものの中で、一番美味しい物だったと言っても良いくらい美味しかった。
生の落花生がこんなに美味しいものだったなんて。
衝撃的だったわ。
2人で、あっという間に食べきってしまった。
あぁ、また食べたい。

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