表彰状とごはん

山彦さんが会社で表彰状を頂いて帰ってきた。
内容は車の無事故無違反が偉かったねって事らしい。
「ほとんど全員が貰える賞やで～」と照れ臭そうに言う。
それの真偽はともかくとして、日々の仕事を労ってもらったようなものには違いない。
「嬉しいから飾ろうっと」
まめまるさんの嬉しい気持ちがダダ洩れになり、声が弾んでいる。
すると、おもむろに金一封がまめまるさんの目の前に。
”優良運転者賞”と書いてある。
「毎日お弁当作ってもらっているからあげる」
「‼‼‼」
なんと、賞金が出たらしい。
天井の照明にかざして「本当にお金が入っているよ～」とはしゃぐ。
「そら入っているやろ」
確かに、そりゃそうだ。
「化粧品でも買ったら良いよ」
「えー、でも悪いなぁ」
「良いから」
「…」
「じゃ、半分こにしよう！」
そう言いかけて、しばし考えるまめまるさん。
出た言葉は、「半分こにしよう」ではなく「ありがとう。では遠慮なく頂きます」だった。
感謝して受け取ることにしたらしい。
実は、明日はまめまるさんのお父さんの一周忌法要がある。
まめまる実家で皆が集まる。
”これは、嬉しいことを2人じゃなくて、皆でわけわけしなさい”
そういうことだなぁとまめまるさんは理解したようだった。
法事の費用の一部にしようと決めたのだった。
まめまるさんは、天国の山彦父とまめまる父に心の中で報告した。
「私達は幸せに暮らしていますよ。これからも見守っていてね」と。