買取り

雑記

先日、自宅周りに「バイク、パソコン、自転車、家電、何でも不用品がございましたら、お声掛け下さ~い」のトラックがやって来た。
「竿だけ~、竿だけっ」ではないが、独特の抑揚で耳につく。
遠くの方から聞こえてきて、段々と近くなる。
あぁ、廃品回収車が来たんだなとぼんやり思う。

車でやってくる廃品回収業者は怖いらしい。
いつだったか、そんな話を聞いたことが有った。
何でも、「無料で回収します」と言って品物を車に乗せてから、後出しじゃんけんの様に「作業代が掛かる」だの、「大型なので運搬料が掛かる」だのと言い追加で高額な料金を請求すると言う。
何千円とか、何万円とか。
勿論、善良な業者さんがほとんどであろう。
ケド、如何せん善い人なのか?悪い人なのか?は声だけじゃ判らないし、肝心の声だって予め録音済のウグイス嬢のような女性の声だったりする。
それは、恐ろしい。
だから、いつもは完全スルー。
そもそもこちらから声を掛けなければ良い話で。

ところが、この日「ピンポ~ン」とインターホンが鳴った。
インターホンが鳴れば、在宅なら出るよね?
宅配の方かもしれないし、ご近所の方かもしれないし。
で、出た。
そしたら、その廃品回収の方で。
「何か処分にお困りの物御座いませんか?無料で引き取ります」そう言う。
「御座いません」そう言おうと脳みそは思ったのに、「オーブンレンジが1台」この口が小さな声で呟いてしまった。
買い替えたから処分しないとなぁと思っていたオーブンレンジ。
処分してもらえるなら有難い、そんな思いがついつい声に。
あぁ、馬鹿な私、だ。
きっと怖い人だ。
どうしよう。
おろおろ。

そしたら、「予約票を渡すので、受け取って欲しい」インターホン越しに爽やかな声が。
絶体絶命。
「予約票?アロハシャツでハチマキ巻いてる人だったらどうしよう、あぁ、怖いよ~」と思いながらも、「オーブンレンジが1台」と言ってしまった手前、出ないわけにもいかない。
ドアを薄く開けて確認。
立っていたのは、声に相応しい爽やかな青年が1人ニコニコと。
「あっ、大丈夫そう」
とりあえず第一関門は突破な気分。

気を引き締めて、「予約票?」と聞いてみた。
そしたら、爽やかボーイが「廃品回収では無くて買取りで、後日都合が良い時に別の物が査定に来ます!」と。
「買取り」これがまた恐ろしいものとして私の中にインプットされている。
というのも、買取りには運転免許所などの身分証明書の提示が必要で、見せたら悪用される可能性が有るとか、買取りの業者さんを査定の為に自宅に入れたら、家の内部の情報を下見されて後日泥棒に入られただの、若いかわいい女性の一人暮らしだと襲われただのとニュースでやっていたから。
築約30年のぼろ屋に住む50代のおばちゃんは関係ねーよ!だと思うが、「やっぱり出てはいけないバージョンだった」と深く落ち込みつつ、伝えてみた。
「廃品回収だと思ったけど、買取りなら断る」
すると「値段が付かなくても、無料で引き取りますので御都合の良い日を教えてくださ~い」ニコッ。
・・・「じゃ、明日」
おいおいおいおいおい、おいコラ私。
約束してしまってる~。

そして翌日。
当然来るよね。
だって約束してるんだもん。
朝からソワソワだよ。
いや、なんだったら夜も気になって寝れてないし。
どうしよう、アロハシャツ着てハチマキ巻いてる人が来たら(注:過去にこういったビジュアルの方と何かあったわけではありません)
とりあえず、
家に入ってもらわずに済むように、玄関先にオーブンレンジを出しておこう。えっさえっさえっさ。
万が一買取りになって転売するなら、しっかり汚れも落としておいてあげよう。ふきふきふき。
無料で引き取ってもらえるならお願いするが、処分代が掛かるならきっぱり断る練習しよう。お断りしますお断りしますお断りします。
よっし!

そしてピンポ~ン。
「昨日お約束しておりました○○店です。オーブンレンジ頂きに来ました~」
ドッキッ。
意を決して出てみる。
およ?役所でお勤めされてそうな真面目そうな男子一人。
よしよし、第2関門突破な気分。
「あのぉ、くどいのですが、無料で引き取ってもらえるなら引き取ってください。無理なら置いて帰ってください。買取りは身分証明書の提示が必要と聞きましたので結構です」キッパリ!ニッコリ!
練習の甲斐アリ。
すると、徐にレンジを確認した真面目風男子が「・・・300円になります」と。「型が古いけどメーカー物なので、部品代になります」と。「身分証明書は買取価格が1万円を超えたら必要で、今回は不要です」と。
・・・ほぅ、そうなんだ。
「じゃ、そ、そ、それで」あわあわ。
良かった追加料金要らないんだ。むしろ300円くれるって言ってる。
良かったよぉ。
第3関門突破な気分。

「ただし・・」
出た~、但しって言ってる。
「但し、当社の現金支払いが1000円を超えてから、となるので、追加で他にもお売り頂いて合計が1000円を超えたらお支払いいたします」
なんと。
想定外の設定。
そんな練習はしていない。
いやいや、断ろう。
「無料で引き取ってもらえるなら持って帰ってください。他には特にないです」グッタリ。
真面目風男子「わかりました。300円のお支払いが出来ませんが宜しいでしょうか?」
私「宜しい宜しい」ウンウン。

こうして、無事にオーブンレンジを無料で処分してもらうことに成功したのだった。

私、good job?

 

 

 

 

 

 

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