父の病状説明4

まめまる父

父の退院が近づいてきた。
昨日は退院に向けての説明を聞くため、病院へ。
現在、週に1~2回輸血を受けて、命を保っている父。
退院後は、今まで通り、家族の介助で通院する予定だった。
けれど、ベッドから車椅子に、車椅子から自動車や介護タクシーへ、移乗が回数が増えれば増える程転倒のリスクは上がる。
雨の日だって有るだろう。
これから、季節は冬に移行し、雪の日も想定される。
待合で診察の順番を待ったり、大勢の患者さんに混じって輸血するとなれば、新型のみならず通常のコロナ等の感染症のリスクだって上がる。
それでも自宅介護を決めたからには、通院する予定だった。

ところが一昨日、ソーシャルワーカーさんから電話が有った。
往診で輸血をして下さる診療所に、空きが出来たという。
診療所から実家まで車で30~40分程度はかかるだろうに、希望すれば往診に行けるが、どうか?という連絡だった。
「往診で輸血の対応をして下さる診療所が有る」
そんな話は、前回の入院中に主治医から聞いていたが、他に輸血の対応してくれる診療所が無く、且つニーズが多く、おまけに距離的にも応じてもらえるかどうか分からないというような話だった。
当時は、通院がまだまだ可能だったから、必要になれば選択肢の一つとして検討しようかと思ったが、いざ希望しても受け入れは難しいのではないかと思い込んでいた。
医師の往診で治療を受けて、訪問看護師さんがサポートをしてくれるらしい。
かかる費用は、主に医療保険と介護保険でまかなわれて、プラスアルファで実費になるが、実費は往復の交通費や特殊な針などの医療器具がほとんどとのこと。
何より、「最後まで輸血をします」
その言葉が有難かった。

化学療法が出来なくなった父の命をつないでいるのは、今や輸血のみ。
けれど、血液は人工的に製造できず、医療資源としては本当に貴重。
父は、将来が有る若い方ではない。
言い方は悪いが、無駄と言えば無駄な使い方である。
十分わかっている。
ケアマネさんを通じてだけれど、「病院側からも、いつまで輸血を続けるのかを、家族で話し合われても・・・」と話がでていた。
勿論、介護者である私達家族の負担も考えて下さっているのだろう。
実際、ホスピスのような緩和ケアの専門施設に入れば、輸血は中止になる可能性が高いらしい。
緩和ケアとして、認められていないのだ。
それでも、「輸血を中止する=父の人生を閉じる行為」である以上、意識が有る限り生かしてやりたいし続けれるものなら続けたいと私達は願う。

そんな中で、「最後まで輸血します」という言葉は、本当に有難かった。
病気の平癒はもう無い。
だから、せめて最後は大好きな自宅で思う様に過ごし、出来るだけ辛いことや苦しい思いをせずに人生を閉じさせてあげたい。
そう願う。
輸血を続けることが、苦痛に繋がるなら中止してもらおう。
けれど、納得するまで治療をしてもらえる事が有難い。

私達は、往診に来ていただく事を決めた。

今回の説明は、病院への通院から診療所から往診へ変わることで、退院に向けてどう動くかの説明だった。
・今後、輸血の頻度がさらに上がる可能性が高い→その都度穿刺せずに済むように、来週チューブを埋め込む処置をする。
・チューブを埋め込むことで、細菌感染のリスクは上がる→入浴時など保護し感染防止が必要。
・転倒防止のため、特に夜間はオムツや尿瓶等の活用を積極的にする。
・退院は、来週末から再来週にかけて。
・訪問看護師は、輸血の処置に慣れた看護師がいる事業所に変更になった。
・もし、救急搬送しなければならない事態となった時→病院が受け入れてくれると確認。

父にも会えた。
久しぶりに会った父は、少し元気がなかった。
どんなしんどい時も、つまらない冗談とも本気とも駄洒落とも言えないような事を言って、おどけていた父の口数が少なかった。
自分の思う様にならなければ、文句ばっかり言ってた父が、文句を言わなくなった。

一刻も早く、自宅に帰してやらねばならない。

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