うー様と蟻

うー様

お昼ご飯を食べた後、全く何もやる気が起きず。
家事とか、調べものとかそういうレベルのやる気では無い。
テレビを見るのも億劫。
倦怠感というより、無気力な感じ。
良かったよ、無職で。
仕方が無いのでそのままコーヒータイムに突入した私。
仕方がないからとは、どういう言い訳かと自らに問いつつも、徐におやつのピーナッツチョコを冷蔵庫から取り出した。
不二家さんのピーナッツチョコ。
小さい。
小さいから5つ食べよう。
わしゃわしゃと透明フィルムを剥ぎ、1つ、2つと食べていく。
1つ目は甘くて美味しいが、2つ目からは惰性。

「チクッ」
突然、左足のふくらはぎに刺すような痛みと痒みを感じ、無意識で手のひらで擦った。
蚊に刺されたのかと、擦った所を見ていると、何もない。
おや?、でも確かに痛みと痒みが有ったんだけど。
そう思いながら、擦った手のひらを見ていると、中指と薬指の間にブラックペッパーの様な物が付いている。
ん?
じっくり見てみると、潰れた蟻だった。
無意識での行動だったとはいえ、潰してしまった。
可哀想なことをしてしまったと見入る。

そこに、うー様がトテトテやってきた。
「何してるん?」興味アリアリ。蟻だけに(笑)
「何それ?」クンクン。猫なのに。
「蟻さんやん!」狂喜。

えーっ!!!である。
手のひらを、しきりにクンクンして、すりすりして、体をくねらせ始めたではないか。
明らかに喜んでる⁈
どういうこと?
試しに嗅いでみると、酸味を含んだツンとした刺激臭がする。
あぁ、これが蟻酸の臭いかと、実験室で成分分析でもしている気分に。
それにしても、だ。
先ほどから、クネクネ、スリスリしている茶色いしましまのお嬢さんは、一体どうしたことなんだろうか?
ちなみに、私は同じ臭いを嗅いでも、クネクネ、スリスリな気分には全くならない。

不思議だったので、調べてみると、どうやらマタタビと似た成分が含まれているらしい。
道理で。
そうと分かった上で、思い返せば、確かにマタタビをもらった時と同じ反応だった。
へぇ。
蟻とマタタビ。
自然界は面白い。
それにしても、猫は食物でもないのに、どうしてあんなに好きなマタタビが好きなんだろう?
そして、人間はどうして何とも感じないのだろう?

更に調べてみた。
マタタビには主に3つの特異な成分が含まれている。
①ネペタラクトン:猫の性ホルモンと似ているので性的興奮を誘発
②イリドミルメシン:い草の香り成分。蟻の肛門腺分泌物やマンゴーにも含まれる。
③イソイリドイルメシン:②と似た構造を持つ
この3つの物質は、猫に特有の生理作用を及ぼすという共通点があり、大麻のカンナビノールを摂取して、人間がうっとりするのと似ている。
そして驚くことに、3つの成分は、人間にも作用を及ぼし、疲労回復や血行促進、強精といった効果が得らる。これは、男性の精液や女性の子宮から分泌されるホルモンと似ているから。実際マタタビをお茶として飲んでいる地域が有る。

なんと!
人間にも作用するんじゃん。
じゃ、蟻酸の臭いで、クネクネしたくなる人間がいても、不思議じゃないってことなんだな。
面白い。

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