2度目のお給料日

昨日は、山彦さんの会社のお給料日だった。
帰宅した山彦さんの手には、お給料明細が握られていた。
差し出しながら「ふんっ」
未開封のまま、ちょっとはにかんで手渡してくれる。
どうやら、月末締めで、20日払いらしい。
8月中旬からきこりになった山彦さん。
先月は、端数の支給だった。
しかもシルバーウィークの影響とかで、少し早めに頂いた。
今月は、まるまる1か月分の初めての支給。
ちょっと緊張しながら、受け取る。

折角だから、ゆっくり堪能したい。
ごはんの後に一緒に「開封の儀」を行おう。
逸る気持ちを抑えて、晩ごはんの支度にかかる。
ラーメンが食べたいという山彦さんのリクエストにお応えし、献立は「チャーシュー麺、コロッケ、焼塩鮭、レタスとブロッコリーの山盛りサラダ」という布陣。
好きな食べ物の盛り合わせ。
山彦さん用のお子様ランチといったところ。
因みに、カロリーオーバーを気にして、ラーメンは1人前を7対3に、コロッケは2個購入し1.5個と0.5個に2人で分けて盛り付けた。
野菜が少なめなので、ラーメンにはゆでた青梗菜を追加、卵は消化に良いように温泉卵。
好物を並べるだけに留まらず、健康も気にする優しい奥さんである。
自画自賛。

食後、洗い物を済ませて、いよいよ運命の開封の儀である。
コーヒーを淹れて、スタンバイOK。
山彦さんが明細を持ち上げると、私の頭の中でドラムロールが鳴る。
静かに山彦さんが内容を確認し、「すくなっ」小さくつぶやく。
広げたままの状態で私の方へ滑らす。
どれどれ。
ん。
確かに多くは、無い。
山彦さんのプライバシーが有るので、具体的な金額は書けないが、厚生年金や社会保険料がまだ引かれていないにも関わらず、20万円台前半。
引かれるようになれば、手取りは20万円を切るかもしれない。
う~ん。
確かに厳しい。

ケド、良いのだ。
私は、山彦さんが失業してから、どんなに頑張ったかを知っている。
きこりになってからだって、朝4時に起きて5時過ぎに出掛け、慣れない仕事をしてケガも沢山して疲労困憊、悪戦苦闘している姿を見ている。
腰が痛い、足が痛いと言いながらも、一人前になる決心を感じている。
未経験の50代が、新しいことに挑戦して、沢山稼げる方がおかしい。
そもそも、私が働けていれば、問題ない話。
片働きで頑張ってくれているのだから、申し訳ないとすら思う。
月収が100万円の人は100万円の生活をすれば良い。
20万円なら、20万円の生活をすれば良い。
無ければ無いように生活するだけ。
それだけ。
全ての生活の質を落とし、お小遣いを少し減らし、贅沢は出来ないけれど、生きていくだけなら困らない。
山彦さんが、体を壊さずに楽しく働けるなら、それで十分。
「御苦労様でした。山彦さんが頑張ってくれているから助かります。有難う」そう伝えて、明細を預かった。
大丈夫。
自分に言い聞かす。

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