今年の夏は、バナナを沢山食べた。
子供の頃は、バナナが大嫌いだった。
奥ゆかしさの無い甘い味も食べると鼻から抜ける独特の強い匂いもねっとりとした食感も、全部苦手。
給食でバナナが出ると、悲しかった。
「嫌いな食べ物を頑張って無くそう」という教育がまかり通っていた昭和50年代。
食べ終わらなければ、皆がお掃除している埃まみれの教室で、残って食べさせられた。
苦手な食べ物を吐きそうになりながら食べさせられた記憶は、鮮明。
要領が良い子は、お友達に食べて貰ったり、こっそり布巾に包んで持って帰ったのだろうけれど、当時から頑固で要領の悪い私は、ズルをするのも苦手だった。
結果、嫌いな食べ物に真正面から挑み、悉く敗北し、トラウマになった。
見ただけで、匂いを感じただけで、気分が悪くなり逃げ出したくなった。
私のバナナ食べれない期は、なんと34歳で結婚するまで続いた。
山彦さんはバナナが大好きだった。
二人でフルーツパフェを食べると、私のバナナを食べて貰えるので好都合だった。
結婚すると、そんな山彦さんの為に、バナナを買うようになった。
匂いを嗅ぐのも嫌なのに。
何とよく出来た奥さんかと思う。(誇)
嫌がる私の横で、美味しそうにバナナを食べる山彦さん。
一度に2本、3本、スルスルと無くなっていく。
給食で出た斜め半分にカットされたバナナを食べるのが、苦手で苦手で、辛かった私には、マジックのようだった。
ある夏の日の朝。
珍しく、バナナが食べられずに、黒い点々が出る状態になっていた。
冷蔵庫で冷やしておけば、冷たくなって食べやすいかもしれないと思い立った。
会社に行く前に、冷蔵庫に放り込んだ。
仕事を終えて帰宅し、冷蔵庫を見てみると、不気味に変色したバナナが居た。
私が知っているバナナでは無くなっていた。
哀れな姿に変身してしまったバナナに恐れおののき、触るのも遠慮したかった私は、山彦さんに顛末を話して始末してもらおうとたくらんだ。
山彦さんは、私の話を聞いて、ニンマリしながら躊躇いもなく哀れなバナナをむんずと掴み、冷蔵庫から取り出した。
勿体ないことしたなぁと思いながら、ゴミ袋に入れて貰おうと差し出した。
そんなゴミ袋を横目で見ながら、山彦さんは哀れなバナナの皮を剥きだした。
❓
「何するの？」状態である。
ところが、次の瞬間、もっと❓❓❓
中から出てきたバナナが、あまりに普通だったから。
知らなかったのだ。
冷蔵庫に入れると、皮は変色するけれど、中身は意外と大丈夫だって事。
そして、何のためらいもなく、その哀れなバナナを食べ始めた！
そして、あろうことか硬直している私にも食べてみろと、3センチほどカットして差し出したのだ。
元気なビジュアルのバナナが食べれないのに、哀れなビジュアルのバナナがたべれるわけないじゃん・・。
そう思ったが、外側と中身の落差に興味が湧いて、好奇心に勝てず、歯の先でちょっと齧ってみた。
美味しかった。
びっくりした。
今思えば、シュガースポットと呼ばれる黒い点々が表れているのは、完熟している証拠。
しかも、夏の暑い日に冷蔵庫で冷やされて、ねっとり感や匂いが抑えられて食べやすかったんだろう。
こうして、徐々にバナナが食べれるようになって行った。
今じゃ、大好きな果物である。
味も、匂いも、食感も、皮をむくのに包丁が要らない所も、値段も(笑)
４つも５つも付いてて、特売なら100円とかで売っている。
お値下げになっている時は、完熟状態の物がさらに20円引きとかになっている。(喜)
スバラシイ。
そんなバナナを見つけたら、すぐに食べなくても買って帰る。
そして、1本を残して他は全部皮をむいて、3ｃｍ位の大きさにカットし、タッパーウェアに並べて冷凍する。
冷凍しなかったバナナは、山彦さんが帰ってきたら、バナナミルクにして飲むのだ。
バナナミルクは、牛乳200ml+バナナ1本をミキサーに入れて攪拌、氷を2から3個、バナナの大きさで様子を見ながら追加して更に攪拌しただけ。今年は、牛乳の代わりに豆乳でも作って良く飲んだ。
たったこれだけなのに、2人分出来て美味しい。
冷凍したバナナは、アイスの代わりに食べても良し、半解凍しバナナミルクにしても良い。
何てったって、十分完熟状態だから、まずい筈ないのだ。
10月なのにまだまだ暑い日が続いている。
もうしばらく冷凍バナナは大活躍する。
最後に、バナナの栄養を少し。
カロリーは1本で約80～90キロカロリー。
甘いわりに低カロリー。
果糖、ショ糖、ぶどう糖等、色んな種類の糖を含み、それぞれ体内に吸収される速度が違う為、急激な血糖値の上昇が抑えられる。
バナナミルクの様に、タンパク質を一緒に摂取すると、更に血糖値の変動が緩やかになると思われます。
食物繊維は便秘の予防に、ビタミンCは免疫力の維持やコラーゲン生成に、カリウムはむくみを予防する等、嬉しい成分がいっぱい。
アイスクリームや、清涼飲料水を飲むより、ずっと良いです。
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