キトンブルー

うー様

キトンブルー。
聞いたこと有りますか?
「kitten blue」で、子猫の青。
多くの猫の赤ちゃんの目は、虹彩の表面にしか色素沈着がないため、ブルーに見えます。
成長するに従って虹彩の中にメラニン色素が沈着していくと、本来の目の色である、グリーンやイエロー、オレンジ、オッドアイ(左右の色が異なる)等、に変化していくのです。
凡そ、生後2か月程度までキトンブルーで、徐々に本来の色が現れ、6か月程度で色が定着すると言われているそうです。

私は、うー様をお迎えするまで、知りませんでした。
うー様が、我が家にやって来たのは生後1か月頃。
やっぱり、目はキトンブルーでした。
ブルーの程度は、単一ではなく、猫の種類で変わり、濃いブルーの子がいれば、グレーっぽいブルーの子もいると言った具合。
うー様は、水色よりはやや濃いめのブルーでした。
それが成長するに従い、イエローへ変化していきました。

我が家に来た時、うー様は、目に感染症が有ったので、抗生物質の点眼液と眼軟膏をしばらく使用しました。
小さな、ブルーの目に目薬を点し、眼瞼に軟膏をそっと置く。
「治らなければ、目が見えなくなるかもしれません」と獣医師に言われて、それはもう熱心にうー様の目と向き合いました。
今でも、風邪気味になると、イエローの目に、目やにが若干増えますが、幸いにも失明することなく成長しました。
当時はブルーでもイエローでも、グリーンでもオッドアイ(左右の色が異なる)でも、色なんか何でもいい、見えていたら良いと思ってました。
とは言え、治療のためしっかり向き合ったキトンブルーの魔力は中々の破壊力で。
瞳の綺麗な女性に見つめられて恋に落ちてしまう男性がいるように、目が合った者を石に変えるというメデューサの様に、うー様の青い瞳は私をメロメロにしました。
そして、成長に従い色を変える不思議さに魅了されました。
これは、キトンをお迎えしたからこそ出来た体験でした。

我が家は、子供に恵まれませんでした。
だから、私には子育ての経験が有りません。
決して望まなかったわけでは有りませんが、熱心に求めることもしませんでした。
成り行きに任せたら、結局恵まれなかったってだけ。
そのこと自体に後悔はなく、子育てしなかった分、社会で働き沢山の経験をさせて貰ったと思っています。
ただ、子供を産み育てる経験をした人と、していない人。
どんなに本を読んだり、話を聞いて想像してみても、経験しているかしていないかの違いは大きくて、差を埋めることは出来ません。
人生の経験値が違い過ぎます。
子供が親を育てる、子供が子供を親にする。
まさに、そうなんだろうなとこれも想像するだけ。

私がうー様に「様」を付けるのは、敬っているというよりも、彼女を通して学ぶことが沢山有るから。
ペットの猫と人間の大事な子供を一緒にするなとお叱りを受けそうだけれど、小さな命から学ぶことは千差万別で、時に重なる事だって有るはず。
受け止める側の能力も試されているのです。
人間の「リアルママ」にはなれませんでしたが、うー様の「なんちゃってママ」を彼女か私の命が尽きるまで満喫して、その結果、リアルママが子育てから学ぶ1/1000でも知れたら、良いなぁと思ってます。
なので、うー様に関しては、動物に興味が無い方にとっては、「たかがペットの猫ごときに大袈裟な」と思われる表現が有るかもしれませんが、私にとっては「娘」なので、失笑し読み飛ばしていただけると幸いです。
(私は大真面目ですけれどね)

因みに、うー様はたまたま猫ですが、犬でも猿でも鳥でもカメレオンだったとしても、私の思いに関係ありません。我が家にお迎えしたら、全部息子、娘扱いです。

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