介護施設見学

まめまる父

父の退院が近づいてきた。
前回、退院した日の夜間にベッドからポータブルトイレへの移乗に失敗し、転倒したまま起き上がれず再入院になった父。
幸いにも骨折は免れたけれど、介護プランの見直しをする必要に迫られた。
母の体調も優れないため、母の負担を減らし、尚且つ、父が安全に暮らすためにどうするのが良いか?ケアマネさんを交えて検討し、ついでに施設の見学に行った。
選択肢は2つ。
自宅介護か有料の介護施設入所か。
自宅介護なら、退院直後は現行のプランをもっと充実させてショートステイやデイサービスの利用を増やし、ゆっくりと徐々に自宅で過ごす時間を増やすような対応が必要。
施設利用なら、入所施設を決めなければならない。
安心安全なのは、当然施設。
特養は順番が回ってこないだろう。
老健施設は、輸血がネックで断られるらしい。
候補となるのはサービス付き高齢者住宅と呼ばれる施設で、見学させてもらったのも、このタイプ。
若干不便なところに有るけれど、厨房やお風呂は清潔で、デイルームは明るい、気になる匂いも無く、スタッフ方も皆元気に対応してくださる。
見学できた部屋が、光の入り方で薄暗かったけれど、それは部屋次第だろう。
50床にも満たない施設は、こじんまりして、慣れると悪くないと感じた。
問題は費用。
父の場合は、施設費に医療費を含めると恐らく月に40万円程必要になる。
有難いことに、入所時の一時金は無い。
妹が言うには、両親には費用を賄う余裕は無く、私たち姉妹で負担する事になるだろう。
父は自身の親や兄弟の介護費用を、これまでに随分負担してきている。
親だから、兄弟だから、当たり前。
素晴らしいと思う。
だから、自分達の介護費用も、私達姉妹を含めて周りが何とかしてくれると思っている節がある。
何とかなるわけない。
私達2人で負担できるのか?
自分たちの老後資金を犠牲にすれば、可能なのかもしれない。
但し、それは父の余命が長くないと言われているから。
早ければ3か月。
長くても、来年前半。
医師が告げる余命は1年を切っている。
つまり、1年として考えても480万円の負担が出来れば、良い?
だが、しかし。
予想はあくまで予想。
宣告された余命を大きく上回って生きている人なんて、数知れず。
長期の療養になる可能性だって無くは無いはず。
そうなったときに、私達が喜んで経済的に負担し続けられるのか?と問われると、正直自信は無い。
では、自宅介護なら?
やはり、輸血がネックとなり、デイサービスやショートステイと言ったサービスでも利用できる施設が限られるので、希望する曜日や時間に利用できるかは状況や交渉次第。
夜間のヘルパーさんの利用は難しい。
結果として、当然父が一人で過ごす時間が増えるのだから、危険性は増える。
父が居れば、母の負担は増える。
私と妹の人的負担も増える。

私の希望は、有料施設の利用。
何より、転倒等のリスクを減らし父に安全に暮らしてもらいたいと思うし、母の負担を増やしたくないから。
介護費用を負担し、自分の老後資金が無くなったら、また働くしかない。
妹は、費用負担が難しいようなので、恐らく私が全てを負担するようになる。
それでも、今現在の自分の体調が良くないので、人的負担より経済的負担を選びたい。
妹は、経済的な負担が難しい以上、自宅での介護を希望している。

続いて、父が入院している病院のソーシャルワーカーさんが相談に乗って下さる。
輸血の為の通院が難しくなった時、往診に来てもらえる医師に繋ぐ方法や、介護用品の強化のアドバイスをもらう。

ケアマネさんも、ソーシャルワーカーさんも、きっと統一した家族の意向が聞きたいのだろうけれど、出来れば施設を利用したい私と自宅介護を望む妹の意向は重なりにくい。
とは言え、統一されなければ方針が立たない。
さてどうしよう・・・。

結論から言えば、自宅介護となった。
正確には、もう一度自宅介護を試してみて、出来るところまでやってみて、無理な状況となれば施設を利用する事になった。
私が譲歩する形になった。
理由は、何より父が自宅に帰りたいと願っていると再確認したから。
父は、私には「退院出来るなら、施設でも良い」と話していた。
出来れば自宅に帰りたいのだろうけれど、施設でも抵抗は無いのだと思っていた。
ケド、やはり自宅に帰りたいと願っていると知った。
但し、これは自分が自宅に帰れば、家族の人的負担は増えると思っていないから言える言葉。
自宅に帰れば、自分の事は自分で出来ると謎の自信が有るのだ。
何なら、自宅に帰って母を助けてやりたいとまで言う。

むー。(悩)
現実は間違いなく父の予想通りには行かない。
私達家族の人的、精神的な負担は増え、父に怒りをぶつけることだって有るだろう。
快適な優しい光に包まれた生活とは程遠い、絶望と不安に満ちた殺伐としたものになるかもしれない。
そして、自分で何とか出来るという謎の自信故、転倒のリスクは上がる。
今度転倒し、骨折すれば、恐らく命の期限は短くなる。
それでも、それを父が選択するのなら、父の希望を優先したい。
自分の介護で母が私達娘が疲れて行く姿を見るようになれば、例えばその後施設に入所するようになったとしても、納得してくれるだろう。
どんな結果となっても、父に納得して残りの人生を過ごしてもらいたい。

私は、ドライなのか、愛情が薄いのか、現実を知っているというか。
自分自身が父の立場で、施設の費用を負担出来るのであれば、施設の入所以外の選択肢は無い。
だから自宅介護にこだわりは無い。
けれど、母も妹も、自分達が納得するまで自宅介護をする権利がある。
頑なに私が施設利用を希望し、のちのち母や妹が「やっぱり自宅で見てやりたかった」と後悔するようなことは避けなければならない。
やはり、母や妹にも納得する時間がもっと必要なのだと感じた。

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