先日、「はちとはちあわせ」になった。
落語の様。
ケド、まさに鉢合わせたのだ。
時刻は13時。
場所はホームセンター。
1階が、メインの売り場で工具、簡易家具、カーテン、調理用品、自転車、洗剤、飲料、食品等。
2階は、文房具やペット用品、アウトドアグッズが並んでいる。
店内の1階と2階はエスカレーターと階段で行き来が出来る。
1階の外側には、屋根のある店内に近いところにたい焼き屋さん、ジェラート屋さんが設置されていて、さらに外にはガーデニング関係、植木鉢や土と共に色とりどりの花や樹木が並び、水を浴びてキラキラしている。
たい焼き屋さんが有るスペースと2階は、店外設置のエスカレーターでつながっており、1階から2階への移動は店内からと店外からと、どちらでも可能な作りになっていて便利。
私は、1階でサランラップを購入し、店内から2階に上がって、赤色のシャーペンの芯を購入。
そのまま外に出て、1階に降りるためにエスカレーターに乗った。
エスカレータから見える景色は、正面にたい焼き屋さん、右手にガーデニング広場。
丁度、営業マン風の40代位の男性がたい焼きを買っているのが見える。
私が子供の頃は、男性と甘い物は縁がないものだと思っていた。
一番身近な男性である父が甘いものを食べなかったから。
男子たるもの、女子供が食べる甘いお菓子のようなものは要らない。
はっきり、そう聞いたわけではないが、家族で食事に行って、コース料理の最後に甘いものが出てきても、それが果物だったとしても、父は食べなかった。
だから、男性と女性では味覚に性差が有ると思っていたのだ。
でも、違った。
山彦さんは、私よりずっと甘いもの好き。
喫茶店で、私がブラックコーヒーを飲みながらミックスサンドを食べる隣で、クリームソーダとフルーツパフェを食べる人だ。
驚いたけれど、そのうちスイーツ男子なんて言葉が聞かれるようになり、世の中の男性に実は甘いもの好きが多いと知った。
近頃は、男性も一人でたい焼きを買って食べるのだ。
ふむふむと納得。
と、そこにいきなり黒いものが横切った。
あぁ、蜂だなぁ。
飛び方で虻か蜂だろうと見当がついた、そして縞々が見えた気がした。
一瞬横切っただけで姿が見えなくなったから、ほっとした。
触らぬ神に祟りなし、である。
良かった、どこかへ行ってくれた。
そう思った次の瞬間、私の正面に何とこちらを向いて、現れた。
エスカレーターの降り口付近の丁度真ん中。
目が悪いくせに、何故かオラオラな顔がはっきり見える。
まさに、「かかってコイコイ状態」でこっちを向いてホバーリングしている。
「ひー」
いやいやいや。
自慢じゃないが、人畜無害をモットーとしている私である。
蜂様に歯向かうなんて気は全くない。
しかも、威嚇してんじゃん。
来るなって、近づくなって言ってんじゃん。
そんな蜂様に、私だって、自らの意志で近づく気は全くない。
全くないのに、全くないのに、どんどん蜂様に近づいてるわよね～。
だって、エスカレーターに乗っているから～。
これは私の意志とは無関係よ。
言って伝わるものなら、伝えたい。
オロオロ。
その日、私は黒色のTシャツで、ベージュのパンツ、そして、グレーの靴を履いていた。
手には黒とグレーのエコバッグを持ち、肩から青色のポシェット。
いたって地味な装い。
決して、トラ柄だったり、ダルメシアン柄だったり、キリン柄だったり、ではない。
なのに、蜂様は超戦闘モード。
マックスの羽音を響かせて、「ここを通りたければ、私を倒して行け」と言わんばかり。
踵をめぐらし、エスカレーターを駆け上がろうかと一瞬考える。
ケド、敵に背中を見せるなとも聞いた気がする。
むぅ(悩)
よし、仕方ない。
ここは正々堂々と正面突破だぁ。(勇)
覚悟を決めて、でもエコバッグで顔面をガードしつつ、ずんずんと近づいてゆく。
あと、50ｃｍってところで、蜂様がぶおんと羽音をさせて近づいた後、横に避けてくれた。
エスカレーターを降りきった私は、小走りで且つ振り返らず、何事もなかったように、出来るだけ遠くに、遠くに進む。
良かったぁ。
付いてきていない。
帰宅後、今日出会った蜂様について調べてみた。
蜂様のお名前は、多分スズメバチ。
スズメバチは、獲物に6本脚でがっつりとしがみつき、毒ある限り何度でも刺し、腹部のみの死体となっても刺すことをやめない強者。
しかも、刺した際に毒液（興奮物質）を相手の体や衣服に向けてまき散らし、その匂いを嗅ぎつけて集まってきた仲間とともに、再度体制を立て直して攻撃してくるというのだ。
匂いに関しても敏感で、制汗剤、柔軟剤、汗の匂い、食べ物の匂いにも反応。
色は、黒色は敵とみなし攻撃されやすい(一説によると、熊と判断するとか)が、濃いい青や紫も黒と認定する。黒い頭髪にも反応する。動物柄かどうかは関係ないらしい。
大きな音や激しい動きも反応する。
攻撃前に威嚇行動をするから、その場合は姿勢を低くして(真下にいるのは認識できないらしい)、近づいても払ったりせず、ゆっくりその場から遠ざかるのか良い。何しろ逃げるのが良い。
活動が活発になる7月から10月は特に注意が必要。
らしい・・・。
私、やっちゃいけないことフルコンボじゃないか。
黒い服、青とグレーのバッグ、黒い頭髪、柔軟剤の匂い、たい焼きの匂い、エコバッグで盾を作る動作、威嚇しているのにずんずん近づく行動(不可抗力だけど)・・・・。
いやいやいや、なぜ見逃してもらえたのかは、蜂様に聞いてみないと分からないけど、あっぶなぁ、である。
屋外設置のエスカレーターに乗るときは、くれぐれも気を付けてくださいませ。
まさかまさか、こんなトラップが仕掛けられていること、有るかも？ですよ。
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